バイオテクノロジー株として一世を風靡したギリアド サイエンシズ。
薬を開発する会社です。
ギリアド サイエンシズ ,Gilead Sciences, ティッカーシンボル GILD について調べました。
株価、事業内容、10年分の売上, EPS、配当、純利益、そして株価の割安度。
主な薬や、開発中の薬を紹介します。
私自身はギリアドの株を2015年12月から購入を始めました。
その後も、株価が安くなったら買う、いわゆるナンピンを続けていますが、トータルリターンはマイナス20%くらいです。
今は潜伏の時期と今後に期待しています。
株価
現在の株価
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株価の推移 3年と10年
株価チャートはマネックス証券のツールトレードステーションより
2015年の9月をピークにゆっくりと下降しています。ヒラリークリントンの薬の価格が高すぎるという発言からです。
2017年の6月からやや反発の兆しが見えます。
事業内容
1987年に米国カリフォルニア州フォスターシティに設立され、現在世界30ヶ国以上で事業を展開。
医療ニーズが満たされていない領域への挑戦を続けるバイオファーマ企業。
HIV/AIDS、肝疾患、血液がん・固形がん、循環器系疾患、炎症性疾患・呼吸器系疾患などの治療薬を開発、商品化。
売上、利益、EPS, 配当 10年分
年度 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
売上 [10億ドル] |
4.23 | 5.34 | 7.01 | 7.95 | 8.39 | 9.70 | 11.2 | 24.9 | 32.6 | 30.4 | 25.7 |
純利益 [10億ドル] |
0.964 | 0.958 | 2.64 | 2.90 | 2.80 | 2.59 | 3.08 | 12.1 | 18.1 | 13.5 | 4.63 |
EPS | 0.84 | 1.03 | 1.41 | 1.66 | 1.77 | 1.64 | 1.82 | 7.38 | 11.9 | 9.94 | 3.51 |
配当[ドル]/株 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1.29 | 1.84 | 2.08 |
EPS: 一株当たり純利益[ドル]
ギリアド・サイエンシズ米国サイトより作成。
- 売上
- 10年間で売り上げ規模を6倍にしました。
2014年からC型肝炎の薬の売り上げが急増。
その後の売り上げは減少傾向にあります。
米国での売り上げが70%を占め、欧州での売り上げは18%を占めます。 - 純利益
- 純利益率が10%以上もある企業です。
- 配当
- 無配の時期が長かったですが、配当を2015年から開始。
2018年ガイダンス
売上:20-21[10億ドル]
株主還元
ギリアド・サイエンシズは株主還元に積極的で、Nasdaq バイオテクノロジー指数の中央値の約2倍を株主に還元しています。
2012年からの過去5年間で発行済み株式の約21%を自社株買いを実施しました。
過去5年間で330億ドルを株主に還元してきました。
2017年はフリーキャッシュフローの33%を株主に配当と自社株買いで還元。
多くの企業では自社株を購入するとTreasure stock(金庫株)としてバランスシートに残ります。
しかしギリアド・サイエンシズは自社株を購入後にすぐ償却するのでTreasure stockがバランスシートにはありません。
2018年第1四半期の配当は前年から10%増加になります。
80億ドルの自社株買い予定があります。
株価評価
- PER
- 22.8
- PSR
- 4.0
2018年2月12日時点の数字です。
近況
2017年第4四半期決算よると、
- 2017年の10月にKite(カイト)社を買収しました。
がんに有効とされているキメラ抗原受容体T細胞( CAR-T)を用いた細胞療法を持つ会社です。
これにより細胞療法としてのリーダーとしての地位を確立することになります
収益への影響は2020年以降? - 2017年12月にCell Design Labを買収、これにより次世代細胞療法をさらに探求
- Yescartaが米国で承認。再発もしくは2回以上の全身治療を施しても治らない、large B-cell lymphoma(大細胞型B細胞リンパ腫?)向けの成人用の薬です。
欧州でも2018年の上半期で承認予定 - 中国でC型肝炎ウイルス(HCV)治療薬のソバルディが承認されました。2年以内にC型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス,HIV用の6種類の薬が承認される可能性があります。
- C型肝炎用の薬の2017年第4四半期売り上げは前年の約半分でした。2018年通期のC型肝炎用の薬の売り上げは2017年の半分以下になる見通し。目を疑いました。
- HIV用の薬Bictegravir (BIC)/F/TAFが2018年第1四半期に立ち上がり予定
主な薬
用途 | 薬名 | 主な成分 | 承認年 | 備考 |
---|---|---|---|---|
C型肝炎ウィルス HCV | ハーボニー Harvoni | レジパスビル / ソホスブビル |
2014 | STR 1日1回1錠 |
Epclusa | ソホスブビル / Velpatasvir |
2016 | 成人向け、 全遺伝子型向け STR 1日1回1錠 |
|
ソバルディ Sovaldi | ソホスブビル | 2013 | 1日1回 | |
Vosevi | ソホスブビル / Velpatasvir / Voxilaprevir |
2017 | 全治療不成功例向け | |
HIV | Genvoya | テノホビル アラフェナミドフマル酸塩(TAF) | 2015 | |
ツルバダ Truvada | emtricitabine / tenofovir disoproxil fumarate |
2004/2012(予防薬として) | 1日1回1錠 他の抗レトロウィルス薬と一緒に | |
Atripla | efavirenz / emtricitabine / tenofovir disoproxil |
2006 | ||
Descovy | emtricitabine / tenofovir alafenamide(テノホビル アラフェナミド), F/TAF |
2016 | 成人と12歳以上 他の抗レトロウィルス薬と一緒に |
|
Odefsey | rilpivirine / emtricitabine / tenofovir alafenamide(テノホビル アラフェナミド) ; RPV/FTC/TAF |
2016 | 抗レトロウィルス薬未投与の成人と12歳以上 | |
HIV & B型肝炎ウィルス (HBV) | Viread | tenofovir disoproxil fumarate | 2001(HIV用)/2008(HBV用) | 1日1回 |
HIV | Complera | emtricitabine/ rilpivirine/ tenofovir disoproxil fumarate |
2011 | 1日1回1錠 |
HIV | Stribild | elvitegravir / cobicistat / emtricitabine / tenofovir disoproxil fumarate |
2012 | 成人、治療未経験者向け 1日1回1錠 |
インフルエンザ | タミフル | 1999 |
ギリアド・サイエンシズの投資家向け情報をもとに作成
概要を知るためにギリアドサイエンシズの主な薬をまとめました。
私は医療関係者ではないのであまり詳しいことはわかりませんが、上記の病気の中でも様々な種類があり、その為に多くの薬の種類があるようです。
開発中の薬 フェーズ3のパイプライン
製品化間近のフェーズ3段階にある開発中の薬のラインナップです。
あまり注目されていませんが胃がんの薬も含まれています。
病名 | 薬名 | 時期 | イベント |
---|---|---|---|
HIV | B/F/TAF | 2018Q1 | アメリカで承認 |
Descovy | 2019Q2 | PrEP(予防薬)としてのフェーズ3終了 | |
NASH 非アルコール性脂肪肝炎 |
Selonsertib ASK-1阻害剤 (GS-4997) |
2018Q1 | STELLAR4フェーズ3試験への登録完了 |
炎症/呼吸 | Filgotinib:JAK1阻害剤 | 2018Q2 | 潰瘍性大腸炎 (UC:Ulcerative Colitis)フェーズ3試験の中間無益性解析 |
2018Q2 | 関節リウマチ (RA : Rheumatoid Arthritis), FINCH 1 study(フェーズ3)への登録完了 | ||
2019,2H | クローン病 (Crohn’s Disease) diversity試験への登録完了 | ||
血液学/腫瘍学 | Axicabtagene ciloleucel | 2018Q1 | 2nd line DLBCL (ZUMA-7)でフェーズ3のピボタル試験試験開始 |
2018,1H | アグレッシブ悪性リンパ腫(NHL),EUで承認 | ||
Andecaliximab (MMP9 mAb阻害剤) |
胃がん |
Q1:第1四半期, 1H:上期
ピボタル試験:主試験、中枢的試験などとも呼ばれ、臨床試験などで、後の治療を変えるような重要な中枢となるスタディ
製剤機械技術学会より
細胞療法:は患者さん自身の免疫細胞を利用し、がんと闘う療法 ギリアドサイエンシズ プレスリリースより
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